犬儒派の牧歌 *

 

さとう三千魚

 
 

深夜に
モコを抱いて外に出た

夜空を
見上げた

丸い月がいた

それから
モコと布団に入った

モコはすぐに布団の上に這いでて
わたしは赤塚不二夫のシェーのスタイルで眠りに落ちていった

きみの上にも
月は

いるかい
欠けるまえの丸い

月は
いるのかい

朝早く

モコに起こされた
暗い庭の玉石の上でモコにおしっこさせた

それから
部屋を暖めた

モコをおいて
ひとりの部屋に入った

サティの”犬のためのだらだらとした前奏曲”を聴いた

窓を開けると
西の山はいた

近くで
イソヒヨドリが鳴いていた

犬儒派の歌は
きみに

聴こえたろうか

光っていた
ひかりだった

 
 

* 高橋悠治のCD「サティ・ピアノ曲集 02 諧謔の時代」”犬のためのだらだらとした前奏曲” より

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

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