さとう三千魚
雨になる朝
川沿いを河口まで歩いた
遠い国で
戦争は続いている
どんよりとした空の
下には
流浪する人たちがいる
わたしは
川沿いを歩いていった
売ってしまったけど
かつて
小舟を持っていた
小さな
エンジンを積んで
青暗い
朝の海に出ていった
凪いだ海のおもての
水面の
ゆらゆらと揺れて朝陽に輝いた
魚は
釣れなかった
釣れたこともあった
なにを釣ろうとしていたのかな
糸を垂らしていたな
午後には風がでて飛沫をあげて海は波立つだろう
* 高橋悠治のCD「サティ・ピアノ曲集 02 諧謔の時代」”自動描写” より
#poetry #no poetry,no life