さとう三千魚
“ひかりだね”
と
きみは言った
電話の向こうで言った
小舟で
夜明け前の
青黒い海に漕ぎだしたことがあるかい
沖に出ると
空は
透明の薄い青になり
太陽が
水平線から昇ってくる
ひかりが
海原にひかりの道をつくる
無数の
ひかりが
凪いだ
海の波間に輝くのを
見たことが
あるかい
またたくんだ
ひかりは
ランプの明かりじゃない
ひかりは
無数のひかりが
またたくんだ
* 高橋悠治のCD「サティ・ピアノ曲集 02 諧謔の時代」”自動描写” より
#poetry #no poetry,no life