かぶとについて *

 

さとう三千魚

 
 

赤湯を過ぎて
月山を

西に
眺め

山形新幹線で
帰ってきた

赤湯には志郎康さんが学童疎開していた

新庄まで
姉が

迎えにきてくれた
金山を通り

車で
帰った

姉の家には義兄の猫が
いた

義兄はいない
義兄は逝った

姉は
芭蕉菜漬を漬けてくれていた

壁には
きみの描いた

母がいた

かぶとを脱いだ
かぶとを脱いでいた

鳥海山がいた

 
 

* 高橋悠治のCD「サティ・ピアノ曲集 02 諧謔の時代」”自動描写” より

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

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