柄眼類の胎児 *

 

さとう三千魚

 
 

昨日は

女と
モコと

墓参に行った
墓地の上空は晴れていた

帰りに
近所のスーパーに寄った

スーパーの壁には子どもたちの書が並んでいた

空という字
並んでいた

空 空 空 空
空 空 空 空
空 空 空 空
空 空 空 空

たくさん
たくさん

並んでいた
それからわたしは居間のソファーで夕方まで眠った

傍らで
モコも眠った

言葉もなく

柄眼類は
触覚の眼を伸ばすだろう

女はエアロビスタジオに行った

 
 

* 高橋悠治のCD「サティ・ピアノ曲集 02 諧謔の時代」”ひからびた胎児” より

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

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