狩 *

 

さとう三千魚

 
 

今朝
風が吹いてる

枇杷の
黄色の実の

初夏の日射しを受けている

モコは
玄関のタイルの上で眠っている

女は
御殿場の

アウトレットで買った茶色の
チェックの

半袖シャツを着て鏡の前に立っていた

ながく
立っていた

それから
クルマで出かけていった

モコを抱いて
女を

見送った

しゃがんで
庭の隅の

カサブランカのまっすぐに佇つ緑の花芽を見ていた

青く
膨らんでいた

紫陽花の白い小さな花たちもひらいていた

女と
モコと

いつか
野の花を狩りにいこう

 
 

* 高橋悠治のCD「サティ・ピアノ曲集 02 諧謔の時代」”スポーツとあそび” より

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

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