お湯 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 125     neishi さんへ

さとう三千魚

 
 

姨捨スマートICで下りた

去年の秋は
更埴ICだった

いま
お湯から出た

根石さんはまだ浸かっている

根石さんには
“根石吉久の暮らしの手帳”というエッセイ集がある

“人形のつめ”という詩集もある

詩は
根石さんは

もう
いいのかな

長湯している
根石さんはオオイヌノフグリが好きだという

オオイヌノフグリの花は
春に咲く

小さくて
青い

どこにでも咲いている

根石さんがお湯から出たら
宿の夕食になる

ビールを頼んである

アサヒ
スーパードライだと宿の主人は言った

 
 

***memo.

2025年5月12日(月)、
長野、田沢温泉 富士屋にて

“無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 125個めの即詩です。

タイトル ” お湯 ”
好きな花 ” オオイヌノフグリ ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life;

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