さとう三千魚
ここのところ
夏バテか
走らなかった
検診でバリウムを飲むから
今朝は
なにも
食べなかった
水も
飲まなかった
すこしだけ
身軽になって
河口まで走ってみた
ゆっくり走ってみた
河口には白い雲を被った不二がいた
鮎の稚魚たちか
群れて泳いでいた
燕たちが低い空を餌を求めて飛びまわっていた
子どもたちが待っているだろう
帰りは
歩いてきた
ゆっくり歩いて帰ってきた
義母の仏壇に女は花を供えていた
灯籠の蓮の花の絵がゆっくりまわっていた
庭のカサブランカの花弁の
地に落ちて
残った雌しべの
突きでていた
尖端が濡れて光っていた
#poetry #no poetry,no life