さとう三千魚
昨日かな
昨日だな
朝には
近所の人たちと
小川の土手の草刈りをした
昼前に
帰って
朝ごはんを食べた
女に駅までクルマで送ってもらい
東名高速バスに乗った
バスから
由比の海を見た
いつもそうする
いつも
由比の海を見る
遠く雲の下に半島が浮かんでいた
灰色の海の上に青い半島が水平に伸びていた
中野では
ギャラリー街道で
佐藤春菜さんの写真を見た
写真には人びとがいて
街があった
お母さんの皺だらけの手が水平に伸びている写真があった
荻窪の公会堂では
高橋悠治さんの曲 “この歌をきみたちに” を聴いた
この曲は3楽章に別れていた
“きみたちは解放の道をあゆむ”
“ラレスに会いにきて”
“幸福の歌”
ここにも
水平があるように思えた
道があり
生があり
夢がある
“この歌をきみたちに”を聴いていた
なんどか眠りそうになった
そこに懐かしい水平があった
水平な夢があった
#poetry #no poetry,no life