かつて
水色の花をみました
そのヒトの庭に
水色の朝顔の花が咲いていました
でも一日で萎れてしまうのですね
そのヒトはいいました
そのヒトはいいました
わたしには朝顔は遠い母に憶われました
遠い母に
コトバを届けたいとおもいました
無いコトバを届けたいとおもいました
水色の朝顔の
無いコトバを届けたいとおもいました
一度だけ
母を旅行に連れて行ったことがありました
沖縄で死んだ
たくさんの人々の名前のなかに
母の
兄の名が
石に刻まれていました
母はその石の前で崩れてしまいました
母はその沖縄の石の前で泣き崩れてしまいました
でも一日で萎れてしまうのですね
そのヒトはいいました
わたしは一度だけ
水色の朝顔の
無いコトバを届けたいとおもいました