はなとゆめ 07

かつて

水色の花をみました

そのヒトの庭に
水色の朝顔の花が咲いていました

でも一日で萎れてしまうのですね

そのヒトはいいました
そのヒトはいいました

わたしには朝顔は遠い母に憶われました

遠い母に

コトバを届けたいとおもいました
無いコトバを届けたいとおもいました

水色の朝顔の
無いコトバを届けたいとおもいました

一度だけ
母を旅行に連れて行ったことがありました

沖縄で死んだ
たくさんの人々の名前のなかに
母の
兄の名が
石に刻まれていました

母はその石の前で崩れてしまいました
母はその沖縄の石の前で泣き崩れてしまいました

でも一日で萎れてしまうのですね
そのヒトはいいました

わたしは一度だけ

水色の朝顔の
無いコトバを届けたいとおもいました

 

 

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