鈴木志郎康
ヘラ、
ヘラ、
ヘラ、
ヘラっちょ。
万力って、
知ってるかい。
大きい横万力、
鉄の塊で挟んで、
太いネジで締め付けて、
挟んだ木片なんかに、
ヤスリを掛けるって道具。
その横万力に、
頭が挟まれちまって、
動かない。
もっと締め付けられたら、
頭蓋骨が砕けちゃうよおって、
感じでざんす。
いや、
いや、
頭が痛いってんじゃない。
首が回らないってじゃない。
空想、
空想ざんす。
万力の空想ざんす。
ヘラ、
ヘラ、
ヘラ、
ヘラァ、ア、ア、ア。
30年前に、
横万力を買ってきて、
木材を挟んで、
切ったり、ヤスリを掛けたり、
三角の小テーブルを作ったでざんす。
あの万力は何処に行っちゃたかなあ。
ヘラ、
ヘラァ、ア、ア、ア。