真っ白

 

たかはしけいすけ

 

 

役者でもないのに
舞台で頭の中が真っ白になり
セリフが出てこない
なんて夢を
見たことがある

ある高名な詩人は
自分の詩集を開くと
ことごとく真っ白だった
なんて夢を
見たのだそうだ

詩を書いていて
書いても
書いても
真っ白
なんて夢は
まだ
見ていない

修業が足りんな

役者のほうが
向いていたかもしれない

夢の中のぼくは
舞台を動きまわり
真っ白な頭の中から
とにかく何か言葉をひねり出して
喋り続けた

そんな夢は
久しく見ていない

現では
詩が
書き出されもせず
真っ白のまま

 

 

*第二連 詩人=鈴木志郎康さん
空0浜風文庫に発表の詩「びっくり仰天、ありがとうっす。」のエピソード

 

 

 

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