こんなに空が青くては

 

道ケージ

 

こんなに空が青くては
死ぬこともできないだろうに

こんなに空が青くては
とうに失った希望を思い出すだろうに

こんなに空が青くては
人を信じない人を信じる気になっちまう

こんなに空が青くては
ぬかるみの夜を忘れすべてを許したくなる

こんなに空が青くては
殺し行く勘気もほどけ
ナイフでリンゴをむいてやる

いったいどうしたというんだろう
すいこまれながら
遠くを見つめると
忘れた悲しみが落ちてくる

苦い果肉を噛んで
すすり泣きする少女の
髪を撫でようとして
風が邪魔をする

リンドウが揺れる道
果てに広がる青空
稜線の風が吹き上がり
なにものでもないと消え行く

こうして生きてるんだか死んでるんだか
わからない日がはじまる

こんなに空は青い
はじめての朝のように

 

 

 

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