魂の行き場

 

有田誠司

 
 

自分を見つめ直すと思い出す 
あの懐かしい街並み

直ぐに剥がれる化けの皮 
罪と罰に抱かれた夜

光無き暗闇

地下を徘徊するドブネズミ達

血と肉と魂と
リアルな言葉と その重みを知れ

何処へ行く 誰に届く この言葉

魂の行き場を探して 

 

 

 

さち

 

山本育夫

 
 

たったっ たったっ
あしおと か おいついてくる
たれの おとか 
ふとうはたけ の なかのみち
おいつき おいこされる る
おいこしていったのは たれ? 
うしろすかた しか みえなかった た
たったっ たった

たれか か うたっている る
こえか つきに おいかけてきた ららら

いつも なにかか おいかけてきて
おいついて おいこしていく くくく

ゆめは はかない と
たとぅー を いれた ちふさ か
ゆれている んたろうね
そのたひに

そのたひに さちあれ れ

とおい ていほう から
いぬとひとと こちらを
みている 

みんなに
さちあれ 

 

 

 

車椅子の少年

 

有田誠司

 
 

独りぼっちで死ぬのは怖いから
君が死ぬ時には僕も死ぬよ

息苦しくて目が覚めた
マスクもしてないのに
呼吸するのが苦しいんだ

僕は家の中の酸素が少なく感じ
フラフラしながら外に出る
大きく息を吸い込むけど息苦しくてたまらない

また同じ夢を見た

小学校の時の友達 坂本君だ
僕は思ってる事が上手く言葉にして喋れない
人が普通に出来る事が出来ないんだって

お母さんや学校の先生がそう言ってたよ
僕のたった一人の友達だった坂本君

小さな頃は生きてる事って不思議でさ
死んだら人はどうなるんだろ
この感情はこの感覚は
何処に行くのかな
怖いよ怖くて怖くてたまらないよ

そんな話をして震えてた

坂本君は僕に言ったんだ
独りぼっちで死ぬのは怖いから
君が死ぬ時には僕も死ぬよ

坂本君の車椅子を押しながら
いつも一緒に学校から帰ってた

動物園みたいな学校で
少し人と違う姿をしてる人ばっかりだった
皆んな仲間だからねって先生は言った
仲間なんかじゃないよ
僕はそう思ってたけど
誰にも言えなかった

独りぼっちの僕に
優しくしてくれたのは彼だけだった

繰り返し同じ夢を見る
あんなに怖いって言ってたのに
一緒に死ぬよって言ってたのに

息苦しくて目が覚めた

坂本君の車椅子を押しながら
話をしてる
また同じ夢を見た

車椅子の少年はもう居ない

 

 

 

僕の普通と君の普通

 

有田誠司

 
 

君は朝起きて顔洗って歯を磨く
トーストと珈琲
仕事に行って帰宅して
家事を済ませて風呂入ってまた眠る
毎日こんな感じの普通な日々

僕は病院のベッドで目覚める看護士さんに支えられ車椅子に座る

左手足は僕のものだけど僕の意思では動かない
目もあまり見えない
二重にボヤけた世界が見える
左耳は聞こえなくなった
1日のほとんどをベッドの上で過ごす
許されてる事は
窓から外を見る事と
夢を見る事
毎日こんな感じの普通な日々

見た目はいたって普通だよ
周りの人達にはわからない
先生も言ってた
だって手足も付いてるじゃないかって

だけど僕のものじゃない
無かったら良かったのにね
それなら皆んな直ぐにわかるもんね

普通じゃないけど僕の普通

君は普通だけど普通じゃないよ
だって君は何処へでも行けるのに何処にも行かない
背中にある羽根に気が付いてない

勿体ないね 僕は少し笑った

 

 

 

幸せな人

 

有田誠司

 
 

猫を抱いて朝を待つ
眠れないんだ
猫を撫でて朝を待つ
餌を欲しがり鳴いている

言いようのない憂鬱が
僕を包む
夜が続くのを願った

幸せな人ってどんな人なんだろう
何を手にしたら幸せになれるんだろう

静かに猫に話しかける

猫はあくびをして目を閉じる

 

 

 

恋の病

 

小池紀子

 
 

好きで好きで
胸が締め付けられる想い

まるで熱病のように
恋焦がれる

はやる気持ちが止められなくて
君への想い 溢れ出す

今すぐ君の元へ駆けつけたい

僕だけの君でいて欲しい

いつか雑誌で読んだ
大人の恋なんて
僕には出来ない