塔島ひろみ
お腹におくらが入っている
おくらが少しはみ出している
そこをツンとつついてみる
なでてみる
引っ張ると痛い
私はお腹におくらを入れて
仰向けに寝た
おくらと一緒に 夜空を泳ぐ錦鯉を見た
岩本医師が登場
おくらに優しく話しかけ、なだめている
おくらは泣いていた
糸が抜かれ
もうおくらは 私のお腹の牢獄から
抜け出すことは不可能だ
3ヶ月そこにいて
そのあとおくらは私の皮膚になる
そして私はおくらになる
触ってごらんよ
(2017・7・21(金)医科歯科大皮膚科待合室で)