正山千夏
34℃
熱いゼリーの中を泳ぐような
むっとした空気
おもむろに日差しが陰り
夕立をはこぶ雲が
灰色でさらに塗り込めていく夏
そこに閉じ込められた私
この夏は完全だ
ガリガリ君を食べながら思う
だれかが歌うサマー・タイム
空0ある朝、お前は立ち上がって歌う
空0そして羽を広げて飛んでいく
私は今飛んでいるだろうか
あいつは今飛んでいるだろうか
青いソーダ色の空を
あたしは完全に不完全
ハイハットと蝉がセッションする夕暮れ
雷のバスドラムは多分もう間もなく
私はもう、楽しみでしようがない
塗り込められた私が
夏に飛び出していく
土砂降りの夕立も
泥だらけの彷徨も
台風一過の空も