牛の船

 

道 ケージ

 
 

牛の骨で作った船は
槍のような何かを突き出している
骨一面に
クレーターのような孔

肋骨の穴倉は
鉄塔の内部のよう
激しく小虫が
舞い飛ぶ

忙しくて作れないわけではない
眠りたいだけなのだ

河原の石に
安定を祈り
流木のキールに
十三の羽根を刺す

作らねば
生きていけない
そんなこともあるまい

おこぼれで生きてきたのさ
人の不幸を食い物に

鉄路に冷え冷えと
横たわっていると
細かな振動は
近くでしか感じない

星を刻みに牛に戻ると
散歩の男が
いいご趣味で
と宣う

必死必敗の取っ手が
外れた
どす黒い念がこぼれ落ち
クズの葉で止める

行かねば河原
必ずや復讐―しなびる決意

隣りのソファーの
ナンプレめくる音かわし
眠りながらでも
続けるのだ

三丁目の角で
いずれも濃い人格で
佇立する者ども
見張っている?
笑っている?

ブルーマンよりは薄い

 

 

 

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