内視鏡

 

道 ケージ

 
 

三月は健康診断
胃カメラやエコー、レントゲン
血液検査に大腸便潜血検診
検便を冷蔵庫に入れて怒られる

三月は自宅での仕事が多い
例年のことだけれど
大腸内視鏡もそろそろやるか
癌の家系
父は前立腺、母は胃
オジキは大腸癌で早く死んだ

アンタ、棺桶に足突っ込んでんだから
金の無駄よ
どこまで自分に甘いんだか

胃カメラは左の穴から
穴は痛い
固くならないの、力を抜いて
と言われても
背中をさすってくれると嬉しい

食道、荒れてますね
ピンクがきれい
外に出ないと赤子のまま

内を覗いて
外に耐える

ひこうですね
非行は昔から
いや、肥厚、胸膜肥厚
せっかいかが腎臓に
世界化? 課題ですね
お節介?
石灰化です

 

 

 

ちょうちょ結び

 

道 ケージ

 
 

ちょうちょ結びができなくて
何回も練習するが縦向きになる
最後の靴を履くとき思い出す
このドアを開けるのも最後

庭の白砂利に青シート
ちょうちょ結びで固定
責任はとる
「一人一殺」できなくて

猫がじゃぁと通り
雲が墓石の形
血盟を破る

食べると出るから
食べないことにしていた
さらしを
ちょうちょ結びで

 

 

 

ノビチョク

 

道 ケージ

 
 

オレ様だけの 
オレ様がいく
ギルガメッシュって
そんなの知らない

ノビチョクおみまい
んー、ゲロンチョン
年老いたことを知らない

夢見たって
言い訳だろ
頭上の角に塗りまくって

花粉ではなたれ
窓開け全開
前の水女に睨まれ
そのシールドを剥ぐ

オレのノビチョクさらして
歴史も記憶も木端よ

ノビチョクどうや
あいつの郵便箱に突っ立てる
あの坂の上

ハナミズキではなく
岬をまわる計略

対馬へ帰るふりして
被保険者資格確認の申立書を添え

確実に殺したい

 

 

 

カタンシカオシ

 

道 ケージ

 
 

パードンパードン もう一回 
カタンシカオシです
か、た、ん、し、か、お、し!
オシシカカタンをひっくり返し
お、し、し、か、か、た、ん!
(リモートと対面のハイブリッド授業)
ちょっと待て なにそのオシ…
お、し、し、か、か、た、ん!

あー! オシは「推し」な 
で、シカカタンはナニ? 擬態語?
シカ🦌カタンと泣いた奥山に道こそなけれ

それが一番ということっす
えっ、ちょと待て
そいつが勝つってことっす
イチ押しということか!
ひゃ、ダサっ

ちょっと待って
まず「勝つ」が気になる 何で勝つなのよ? 
いいとか、好きとかじゃないの?
知りません

次にこの「ん」、否定でしょ。
古文で「ん」は否定じゃないからな!
係結びなら「推しこそ勝たね」
あら、逆意になるね
「推しこそ勝たざらんや」
何言ってんのかわかりません

「シカ」が曲者やな。否定を呼び覚まし、それ以外のものはないことを示す。
「100円しかない」「君しかいない」「やるしかない」

ハライチすかん かまいたち知らん
パンパカパン らむらむらめ

なぜ長いのか? 短縮化でしょ?

使い方が違う!
だいたいもう古いですよ!
何が?
カタンシカが
かたん詩かぁ
やぁオモロイ!

 

 

 

千本ノック

 

道 ケージ

 
 

やるというから
付き合う
何のため誰のため
関門クォーレイ
オーライオーライ

右、左、ホラ前、後ろ
ネットに投げろ こっちじゃない

打つも大変 何しろ千本
だからといって
うどん投げんな
お玉はあぶい

乱れ打ちでかわす
ワンバンは辛い
体で止めろ
足が止まり かかしか
背中に当たる ジャマ

捕らないと捕らないと
打たないと打たないと
逃げてもいい逃げていい
豆つぶれ 狙う
殺意あるでしょ
ネットから屋根へ跳ぶ
おでんがはねる 
こんにゃく投げやすい

飯粒に唾攻撃
ベランダに逃げる

鳥のフン 風にやられて
河原飛ばされ
石のさみだれ のびきって
凧みたい 空から光線攻め
全員攻撃か
なんだっちゃやるよ

あざがいとしい
バット折りやがった

 

 

 

 

道 ケージ

 
 

くだよくだ
くだしてくだす
管をどうする
そこじゃないから埋め戻す
傾きを生きて
くだよくだくだらなくてぐだくだ
あなれんぞくあなつなぎ
上が入り口、下が出口

てめえ、竹輪だろ
そんなに無理に入れないで下さい
胡瓜、チーズ、キムチって
やめて さける いたいって

くだんしたくだるやすくにのさか
くもるからくるうくらし
くにもくじらもくちて
くずしてくぐるくやみくらやみ
くれないのくりいりくずゆ
くまくさいくそして
くきのはしょくしてくるう
くるくるくるっとる

 

 

 

大絶滅

 

道 ケージ

 
 

大絶滅だ!
ダンゴムシの背伸び
羽根抜く鳥は
生き抜く気か
目ばかりが大きい
へび女たち

全球凍結だ!
欲情は冷え
陸は沈む
大量絶滅は
一つの大量発生である

逆縁だ
けものとして
海リンゴも海ユリも
深い所に移住していく
酸素はない

恐竜は気嚢があるから
生き残った
この青空
もう断然、大絶滅

目の前のへび女を噛み
離さない 

 

 

 

ふじつぼ

 

道 ケージ

 
 

汀の角度に
打ち上がった
鋼鉄の船 
喫水線がにきび面を
傾いでいる

乾いた風が
一つ一つの穴を点呼し
魚臭い息を
鳴らす

雌雄同体であるフジツボは
近接した個体と交尾受精し
ノープリウス幼生から海中で6回脱皮
キプリス幼生となる
餌食みしないため
かのダーウィンは「動く蛹」と呼んだ

剥がしてやるよと
石でトントン
虚ろに空洞がなる
白い粉がお悔やみのように
散らばる

死んでも剥がれぬキプリスセメント
父と母とともに流され
黒潮とまぐ合う

うちとけるとでも
そんな朝はもうないから
だましだまし貼りついてる
生きてるんだか死んでるんだか

光る子が草薙の不義を
隠し通すように
蔓脚をびらびら旗めかして

死ねないんだよ
死ねない
死ねないなぁ