パリー・キュー兄弟

 

道 ケージ

 
 

パリー・キュー兄弟
ここ酷寒のユージンスフリンスク
泳いで渡る
浮き島、凍る

青白い氷塊をよけるのは厄介だ
ひとたまりもない寒さ
お願いだ、服を頼む

手をかけた途端
ちょいと吐く
下痢は即、海水で凍り
雲母のように煌めく

兄はいつ泳ぎ渡ったのだ
何やら余裕の笑みで
手を差し伸ばしてくれる

サハリンまであとわずか
王子の技師連中は頼りない
凍ったうなぎで乾杯
氷原を遠く、剣歯虎

ウィルタの女の哄笑
その縮こまったものを
隠せと手振り

火は火は火は
ガチ 歯を鳴らす
祖国のコタツでは
課税を恨む

暴政なのか善政なのか
さっぱりわからない
白蠟病の奴を思い出す

嬲り殺された北スナック
誰とも話さず
ズブロッカ ラッパで
その未亡人のタエコさん

女GPSやて、と母の夢見
母に、そりゃCEOやなかと
ああそげんやったかね

でもタエコさんは三年前に亡くなっている
ウラジーミル・ルイセンコ、万歳!

 

 

 

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