ほんとうの窓が

 

駿河昌樹

 
 

だれにも媚びないことばを
まだ
記せる?

どれだけ?

そう思って
ここにも
ことばを記してみる

認められたがりのことば
買ってもらいたがりのことば
覚えてもらいたがりのことば
こころに留めてもらいたがりのことば

そんな商売ことばたちだけに
なってしまった地上で
まだ
あり得るのか
けっして奴隷になることのない
ことばは

たゞの逡巡としか見えないことばや
急ぎのメモ書きのことばこそが
まだ知らぬ
どこかのひろびろとした草原への
窓のように見える

だれをも動かそうとしないことば
だれをも誘導しようとなどしないことば

そんなことばたちがほしい

たゞ
窓がほしいために

ほんとうの窓が

 

 

 

ほんとうの窓が」への2件のフィードバック

  1. 駿河さん、こんにちわ。お元気ですか?駿河さんの窓の詩を読んですぐに詩が書きたくなり、書いてみました。駿河さんの大切な人を思い出させて、悲しかったらごめんなさい。まだ今日、浜風文庫さんを知って掲載させていただいたばかりですが、ここは、一つするやんに応えて返答詩として送信します。よろしいでしょうか?やはり、するやんは、宣言詩、窓のようです。日本のボードレール、するやん?!私の場合、窓でもありフレームでもある眼による凝視です。(リアリズムを目指しています。)

  2. 本当の言葉が欲しい 神坏弥生
    本当の言葉が欲しい
    ただそれだけを胸に
    私は、カメラを向け
    カメラのフレームから
    シャッターを切り続ける
    あの赤い日の出から
    何が覘かれているかを知りたくて
    赤い日の出を窓辺に立って臨んで
    平等に私たちを照らしているのを
    感じながら
    フレームという窓枠の中から
    ズームは次々と角度を変え
    海を空を大地を山を街を人を
    捉え画像を撮り続ける
    私の眼と言えば、
    瞬きシャッターとオートフォーカスの連続
    彼の眼の本当の表情を捉えながら
    あなたに言う
    本当の言葉が欲しい
    私が彼の手を取り
    コマンタレブー
    ジュトブオラセラ
    本当の言葉と本当の愛と私たちの子供が
    欲しい
    本当の愛
    本当の私たちの愛の子供が欲しい
    どうか今夜、月夜の前に
    私に本当を伝えてほしい
    夜が私たちを支配する前に
    本当の言葉が欲しい

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