丸い家

 

道 ケージ

 
 

大きな球体の家
黒い板を何枚も貼り合わせ
うまい具合の大球だ
やや上部に小さな窓がある

朝日が窓に光り
板壁は複雑な反射をして
美しい
道の果てに気球のよう

それが今日は違う
銀のネックレスのように
窓から
人が吊り下がっている

艶消しの黒に
鎖が光り
へいせいの
時間が止まる

*  *  *

それより
どうやっておろすんだ

「ねぇ」
尻を突き出した女が
下から誘う
唇がかわいい

あれ どうすんだ
「ほっときなさいよ
関係ないんだからさ」

誰か気づいてんのかな
「そのうちね
いいのよこここじゃ
みんな知らんぷりよ」

降ろさないと
「あんた行くの?」
まずは梯子を買い
面倒な手続きが必要だ

「早く」

この部屋もそういえば
丸く湾曲している天井
べッド脇に
鎖がとぐろを巻く

黒い縁取りの
小さな窓枠に
鎖掛けの
フック

この平原には
いくつもの大玉が
あるのだった

順序通りにはいかない
もう
とうに来ているのに

 

 

 

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