正山千夏
強風に逆らって
自転車で坂道をくだる
ことに熱中していたら
いつのまにか
よくわからないところに
出てきてしまった
色とりどりに咲くさるすべり
白赤ピンクの美しさに
泣けてくる
熱風吹きすさぶなか
痛む左胸に手をあてて
直射日光に焼かれる夏
芝生に寝転んで空をながめた
強風だからか
つぎつぎと湧きあがっては
流れていく大きな雲は
まるで海の上を行く船のよう
私を乗せて猛スピードで
どこかへ走り去っていく
はだしで芝生の上を歩けば
足の裏 じかに地球の感触
それが触発するのか
深い深い海の底から
なぜだか湧きあがる想い
もまた強風で
どんどん吹き飛ばされていく