片肺の里水を吸う

 

萩原健次郎

 
 


 

片肺の     空がカラ
急勾配の
修行僧の     色の渦
延着の   沈んだ
素足の      味噌
粗暴の        眉間を切る
藍の  鹿肉
空白空白空白空白空白空白空白空白羽根に舐められる

耐える
絶える       修験
堪える

悶える
白む        石仏
消尽する
去る            後髪
棲む
濁る
空白空白空白空白空白空白空白空白泣き止まない

遊星
六芒
荒神
空白空白空白空白空白空白空白空白発火した池

私に、宣告された
猫の燃える、煙。
川面に、貌を落とす。





空白空白空白空白空白空白空白空白全焼

私が、昭和を一息に飲み干して、それを
尿と糞に溶かして、器に打ち捨てることは
泣く女と無関係で
宗教なんぞは、想念の便なのだ。
風景に、討死する人を見よ。
ちり紙交換の車を運転する人を見よ。

紙は、神で。

魔、多、羅、ららっ
斑に生きる、二足の虫。

混ざり
後退り
看取り

天に往ったり、戻ってきたり。

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です