正山千夏
歩く歩く
歩いてないと狂ってしまうよこの街は
骨が地面に刺さる
その振動を心臓に刻み
腐るなにかを内包するあたしは
歩く歩く
トーキョーの街は流れる川のよう
うごめく街は人を飲み込む清濁あわせ呑む
引力にひかれる皮膚を
コートのように着込んだ女
歩く歩く
重力とあたしは恋におちる
足で地球の頬にキスをするんだ
骨が地面に刺さる
その振動をDNAに刻み
複製されゆく遺伝子のなれの果て
歩く歩く
内側と外側にひろがるジャングルを歩く
探し物はなんですか
まだ目がらんらんと輝いてる
それはちょうど暗闇の中
今生まれようとするたましいの
放つ光にそっくりだ