ヒヨコブタ
寒さを堪えることは不得手でないと思ってきた
ふりこめるような雪も氷もとけていくことを待つ気持ちは
幼き日には温もりだった
と
あたたかさを届けたくて
ことばを重ねるときも
マイナスに伝わることが多いとき
戸惑いが、ある
戸惑いすぎるとき
わからなく、なる
寒さはそこにも、あるのか
懐かしさをもって他者と再会したとき
そのひとのなかの永いわたしを見るように
他者であるそのひとのいまも、見る
まだ会うことができるとき
特別な時間かどうかはずいぶんあとにのみわかるのかと
なじみの店での再会が
さみしさよりぬくもりが多いのは
思うのは
多くのひとのしゅんかん
仕草や話し方、目の輝きや歌声
さまざまのしゅんかん
うつろうのは季節よりもじぶんにあり
報せてくれるように季節があるのだろうかと
思う
うちすてられたようにみえるものでも
かつてのわたしの宝物だったもののように
価値はそのひとに委ねながら
片づけていくのも
物ではなく思考やこころなのだろうか
華やかすぎる春ではなくて、いい
春の鳥のこえをきいたとき
そのさえずりに確かにそう思った