小関千恵
鮮やかに
水彩画の街のメリークリスマス
引かれた線で 戯れる形
愛の絵具で煌めく 地平のひかり
ねえ 願いを
戯言を
星へ 歌っていいですか
どこかの星に 聞いてもらいたい
跳ねる唇
堪りかねた人間の雨粒
滑らかに 地球の皮膚を滴ってゆく
海は 海はまだダメだ
誓いを立てながら
冬の夜空も裸んぼうの人
見てごらん
月も 裸んぼうで生えているよ
いつか緑色だった 月が
信じる者の 信じるモノは
優しい畑だと思う
魔法でも催眠術でも
希望はあるように思う
こんなに素朴な 可愛い生きもの
人間は 信じる 生きもの
せかいは柔らかな地面だった
いつか剥がれてゆく
地面も 背中の皮も
だから
容赦無きどしゃ降りには
拐われないように
流されていかないように
まだ 海はダメだ
まだ 海はダメだよ
水彩画の街で 水彩画の街で
柊はひらひら
空を飛んでいる