興味を失くしたようだ

 

工藤冬里

 
 

ウーマンラッシュアワーのは漫才のネタではなく種である
ヤマザキパンのdoughはパンの種ではなくパンのネタである
アダムとエバの子孫は種ではなく彼らのネタである
豊後水道のアジは関アジと呼ばれる時寿司の種で岬(ハナ)アジの時はネタである
ジャズマンが転倒させた種はインスピレーションソースであった
ネタと種を往来しようとする試みを続けていた人類はこれから痴呆状態に入る
中世に戻るのだ

 
その星はずっと雨がびゃあびゃあ降っていた
光といえば欲望と裏切りが交互に点滅しているだけだった
言葉は呪いにしか使われていなかった
記憶はトラウマしか残っていなかった
技術を学習する者はいなかったので
音楽は単旋律に退化していた
女は全員同じ顔をしていた
全員安中リナという名前だった

 
興味を失くしたようだ
浜辺で立ち止まった
七つも頭があると
海から上るのも
彫刻像を作るのも大変だ
地から上るのは英語である
トモダチは皆離脱を支持する
呼気はカエルのカタチをしていて
元カレも元カノも召集される
ドロドロに踏み潰される
服を汚すなと言いながら
鉢の中身をぶちまける
海の中の生き物は全て死に
川と水は血になった

カウンシルハウスの上の雲は竜の形をしている
トモダチは屋上で野獣の旗を揚げる
券売場に反対の署名
赤鉛筆の立ち飲み屋で芯を剥き出しにする
睫毛が長すぎてピューと吹くジャガーさんみたいに目がないので
本心に立ち返る隙がない
障害があって結婚しない人が
忘れられている

 

 

 

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