自販機

 

工藤冬里

 
 

あたらしい断念は
ふるい希望に基づいていたが
さらに真新しい今のこの
寝食忘れる犠牲の煙が
谷を覆う
肋骨型に剥ぎ取られてゆく
女性名詞の蓋然性
ニブフは女性を虐待した
路地出身という名目で
革を張った盾に油を塗って修理する
どんな希望があるか
もったいないという気持ちが元兇だった
しっかり汚染
裕福
満たすと露わになる山々のように
地球の欲で満たされた
果たせなくなる
経絡とは何の関係もないが
内側から見上げると
星座のようだ
自販機に矢が刺さっている

 

 

 

森で眠るようになる

 

工藤冬里

 
 

森で眠るようになる
栞紐が二つも付いている
小さな手帳なのに
足の裏が蛇の頭に触れる
ゴモラに行って確かめます
山はよく見た
いや見てない
見足りない?
いや見た
目出度い額
産まれた時兄たちは
死にたい
うつな描画のように
億年は矛盾しないもんだいだということですね
ハコフグ森進一
動物の世話に何故失敗するか
きみの生態を解明できない
動物を見せた理由は
欠落を知るためだったが
知りすぎた挙句に
この欠落だ
少年は髪型を少年にして
声を少年にした
空間の上の水を飲んだら
それが喫茶だった
種があるから果物なので
肉だからではない
小さい方には夜を見守らせた
それは良かった
万事快調
I saw that it was good.
belly vest of navel
アダムの臍
信頼できるのは病気だけだ
乾いた石が転がされ
persist 根深いものがある
participants were persistent
転がされていく謙遜さ
上ってゆく岩
きみは動物で
きみの動物は
語尾がにぃである
母音省略の動物性
空白空白空白0という訳ではない
私の前に連れて来られる
森の中で眠れるように
虹の怪獣が潜む区域
緑や臙脂の

胎芽から
胎児
タイガからタイジへの
財産の移行
道を歩くときも
寝るときも
十字に裂けて固まった表面
幼い時からドブ浚い
とげをおしこむ
どんなことでも乗り越えられる
風に
運ばれて
追い風
風のかわりに耳鳴りが来た
紅海のドルドラムを行く
額は広い
青と緑
いい風

切る
頭を切る
首から上を切る
舟はどこに向かっているか
森で眠るようになる
新しい世界
黄土色と黄緑
川床の工事
森で眠るようになる

 

 

 

酢waters

 

工藤冬里

 
 

きみの夫は
だめだったのだ
そのまま押し上げられた高みには
きみの夫が単独でとどまることができるほどのデポジットがなかった
きみの夫は下層であった

死にたいなあ
どうしたら死にたいだろうか【文字起こしママ】

悪の中に階層をもとめ
しんみりと浸っているきみの夫は
太陽もアレゴリーにすぎなかったことを知り
桟敷の筵に坐る
活字になりたがる宮殿は
大気圏外から見える平屋で
門に錠前はない
浩宮はタメどころではなく年下で
立ち直るのは難しい
刷り間違えたラベルの
SP盤は回り
きみの夫は山を穿って住みたい
定期券の薄さで
巨大な壺が燃えている
酢watersでは
Aの台形の中を
字たちが這い登ってゆく
睫毛たちは縦横の線を作り出しながら屡叩かせる
きみの夫はもうすぐいなくなる
門の外から覗く参賀の
百合のラッパの技術が
捌く群青
暗い廊下を渡り
最初に露天にやって来たのは
ゲイのカップルだった
二番目に入って来たのは
三人の孫と祖父だった
暗いホテルの
しょうたいに応じる
時間給でしかない正体
暗い切り通しを超え
町に還れば
植えた植えないで
恥は巡り
ぎしぎしとした暗さの中で
酢watersは飲まれ
それでもあたふたしないきみの夫は
最初の合意に拠るねたみさえ理解する
死も墓も投げ込まれる池は何も出さない
粟色したjedismはとうに褪せ
きみの夫にはフォースがない

 

 

 

大阪で

 

工藤冬里

 
 

縮尺も方位もない地図を渡され
同緯度同縮尺のつもりで
分割された区域を囲む
口からナイフ
死体を啄もうとして鳥等は集まり
桜鍋にされる白馬もいる
地上で極めて不快なものたちの母
ひかりの 北九州行く?
免除されて住んでいた
役立つ点をはっきりアイコンごとに知らせる
小物語の集積が囲まれ
それをさらに白馬が囲む
白馬に囲まれる
命と新世界を天秤に掛ける

 

 

 

興味を失くしたようだ

 

工藤冬里

 
 

ウーマンラッシュアワーのは漫才のネタではなく種である
ヤマザキパンのdoughはパンの種ではなくパンのネタである
アダムとエバの子孫は種ではなく彼らのネタである
豊後水道のアジは関アジと呼ばれる時寿司の種で岬(ハナ)アジの時はネタである
ジャズマンが転倒させた種はインスピレーションソースであった
ネタと種を往来しようとする試みを続けていた人類はこれから痴呆状態に入る
中世に戻るのだ

 
その星はずっと雨がびゃあびゃあ降っていた
光といえば欲望と裏切りが交互に点滅しているだけだった
言葉は呪いにしか使われていなかった
記憶はトラウマしか残っていなかった
技術を学習する者はいなかったので
音楽は単旋律に退化していた
女は全員同じ顔をしていた
全員安中リナという名前だった

 
興味を失くしたようだ
浜辺で立ち止まった
七つも頭があると
海から上るのも
彫刻像を作るのも大変だ
地から上るのは英語である
トモダチは皆離脱を支持する
呼気はカエルのカタチをしていて
元カレも元カノも召集される
ドロドロに踏み潰される
服を汚すなと言いながら
鉢の中身をぶちまける
海の中の生き物は全て死に
川と水は血になった

カウンシルハウスの上の雲は竜の形をしている
トモダチは屋上で野獣の旗を揚げる
券売場に反対の署名
赤鉛筆の立ち飲み屋で芯を剥き出しにする
睫毛が長すぎてピューと吹くジャガーさんみたいに目がないので
本心に立ち返る隙がない
障害があって結婚しない人が
忘れられている

 

 

 

捕虜となった私

 

工藤冬里

 
 

凱旋の辱め
前列からの分断
同じ花でも
死の香り

線の細いピカチュウの描画が
ミスドの包み紙にコラボされているが
油はその線の中で完全な勝利を収めており
線の細さも油からその香りを引き剥がすことはできない

死刑執行を命ぜられた兵士は自殺する

油も線の細さも私を死から引き剥がすことができない
糾弾の雹は直径15.5センチ
部屋に
イカの甲(フネ)の凹みが現れ
3D画面に吸い込まれる
私は自分の舌をかみはじめた

それにしても贅沢な浪費!

 

 

 

幻羊/浅い墓

 

工藤冬里

 
 

楽しいことが待っとるけんね
何かあっただろうか
楽な方法を見出したということか
いずれにしても力はない
空0スターウォーズまだかな
字がきたない
近道に慣れるまで数年かかった
言葉が死んでいる
舌の短さによって
風を押さえ込む
空0バッタを治める
空0アバドン・アポルオン
喜んで怖れる
靄がかかって
二人が一つのベッドにいて
一方は連れて行かれ
他方は捨てられる

幻の羊を
浅い墓に埋める
楽しいことが待っとるけんね
空0あさいはか
空0ないはか
空0にうめられて
浅い儚い墓に埋められ

乞食は
分かっている

正義の妄想は
満たされる

骨粗相症のシャコは
鏡から離れて
自分を忘れる

都々逸衝動はまだある
〽︎友の鏡に自分を映す

根の塊ごと
土として掘り起こし
土として埋めた

拡げた坑に
根と埋葬する

最後の日々には
終わりが終わり
空0くの字型した
死体が二つ

空0しろがねの衾の岡辺

死ぬ人々がカフェにいる
唯一のメッセージはTVの宣言を信じるなということ

不意に驚く泥棒のように驚き
冴子のように冴えた状態を保つと
暗いオレンジに光が当たる
can’t afford
キリストから切り捨てる
〽︎掘ってやろうか浅い墓

 

 

 

海抜ゼロ

 

工藤冬里

 
 

バチカンをぶっ壊す!
とフランシスコが叫んで始まる
終末
が見えた気がして
まだ生きている僕らのことを想う
僕らは復活の無い死を遂げる稀有な存在となる
死んでいた人たちが代わりに傾斜地に住む
一人一ヘクタールが割り当てられる
どちらかというと
斜面に穴を掘って住むといいと思う
復活のない死には美学が必要である
だから人文学が栄えていたのだ
何のためにフランス語を勉強したのか?
死ぬからじゃないのか?
鉛筆の芯で出来た大きな直方体を考えているんです、と言うと彼女は喘いでがたがた震えた
様々な種類の白い光が蓮華文のように放射した
異なった白はアウェー感を醸し出した
マッチ箱のような形
乗り手は言葉と呼ばれ
白かった
ホワイトハウスはどんなところですか
白いよ
小麦一リットルが八千円
セントヘレナ島以外の全ての人が
目と想像力を活用して強めてゆく
風化との闘い
鉛筆だけで光を表現している
何故そう言えると思いますか
王冠を被ったり投げたりしている
ヒゾーガンである
ビーツの葉も実も、煮出すと瑪瑙のように赤かった
目が沢山あった
バランスと生理は関係ない
沢山ある目を受け入れなければならない
壮大な場面
魚群も鳥の群れもクラゲのように窄んで開く
色とりどりの葉、丸い黄色い葉
所詮私には無理だったのだ
相手の中に何があるかを確認してもらい
第四脛骨脱臼
チャリタブル プランニング
宇宙船で視覚が奪われる
人の姿をした漢字が、立っている
形にあらわすことはとても大事
世の中わるくなっても先頭にいるのは白い馬
集合的な努力
これ以上低くならない海抜ゼロをいつも見ていたから
チベットに居ても
この最低の平面を思い出すだろう

という字には貝が二つある
右の賣は売の旧字である
一見して売り買いのことと知れる
買うと賣る
貝に貝
貝で償う黨員
Celui qui appelle du levant un oiseau de proie

 

 

 

十一月ソノ二

 

工藤冬里

 
 

隠し場所を見付けられず元気がない
このインクもそろそろ終わりだ
爆発は口から
弁償のランチ
葉は一様に水分不足を訴えている
真理とは間違いからの自由
奴隷ではないので選べる
足を組み替え
家主の話を聴く
殺人したら追い出す
死にたいは録音できない
先祖の薬物
千八百万人の習慣からの自由
声を聴くってアナ雪みたいだね
結論を言ってから そして というのはやめてくれないかな
うろこ雲はイワシのフライのようにえぐれている
村山も武蔵野だった
唄えなかった
強制されて从(シタガ)う
三十年待って
f(x)=ax+bのグラフ
蛙の目玉
骸骨のママ
レール上を歩いていく陳腐
一台だけ売る外車屋
花弁波打つ周縁
房べり
花弁の房べり
水筒を落とすと
茶にガラスが混じる
種の中の柿の芽のように浮き出る
カーブの続く山道
死にたい は録音できない
死ねシネマよ
シネマへ
死ねおまえ
きのうやった
写真の継ぎ目はwaterfall
台形
ゲームのワーム
フォークで耕す 掌
子供を愛することを教わる必要があった
意識的に子供に愛情を表現する必要があった

起きれないので
空0ラ抜きは駄目だな
起きられないので
三十九度の追い焚きにして
温めようとした
出かけるには温めるしかなかった
その手続きがどうしても必要だから
使われても勤められないだろう
空0東京の勤め人は大変だろうな
空0六十年代的な瞬間の美学が悪いのだ
小便もしたいが寒いので後にする
水の中で水を我慢しているのがおかしい
水の中に水を入れた袋があるのと一緒だ
水は温まりにくく冷めにくい
体は水であるのでなかなか暖まらない
体はレトルトのカレーにすぎない
ただの水分の詰まった袋なのにものを考えたりしてすごいと思う
設定温度に近づくと四十度の熱とかやばいと思う
空0やばいとかあんまり使いたくないな
余程の炎症がないと体温はそんなに上がらないだろう
熱いものを飲むと自分を冷やそうとして体温は下がる
熱い湯に入るとそれでも徐々に体温は上昇するのだろうか
冷たいものを飲んで体に年寄りの冷や水を浴びせると
子供の頃の顔が柿の種の中の芽のように浮かび上がる

作者がいない映画
最大公約数に落ち着くのではなく
銅の代わりに金を携え入れる
臭みを除き
何年も先のことを決める
平たい赤い街の線描
のような声
干し煉瓦に新聞を貼った壁
作者のいない映画の
制作に参加できない者だけが作者であった
嫉みで曇らされて、批評どころではなかった
欠けていたので、殺してしまおうと思った
子供の頃の顔を殺そうとしたのだ
周りに立つ人々のために言っています
参加できない作者は語らされた

最高の仕事とは嘘を暴く仕事です
彼らはそれで爽やかさを得ることができます

問題はエネルギーが限られているということだけです

車は、頭であるか体であるかのどちらかだ。後部の窓が吊り上がった眦であるときその直下は目の下の整形の弛みとなるが、体であるならば凹凸は悉く四躯の筋肉となる。大型車でも頭だけのものもいる。外車は動物の体全体が多い。厄介なのは頭と体が混合しているもので、それをバッドデザインと呼ぶ。

象徴界にもピンキリがある
という言い方は想像界的だ
学問的には象徴界にピンキリはない
ということは象徴界という用語は無意味だ
象徴界という用語はそのために存在するのではないか

花ではなく実の色で飾るとは恐ろしいことだ

いきなり命
十代
二十代
三十代
六十代
七十代
short lives
をやり直せるなら

それも同じことだ
支配する者が
支配される者よりも先に死んでしまう

薬品業界のコンシューマー
延命商人

くの字型の死
アダムは九三十歳
十億倍の使用に耐える

今から
四万キロで地球一周

多様
才能性格能力
猫のような多様性

片道五十年の旅行

百五十億人
一ヘクタール
三千三百坪

山々の頂で豊作

獅子の歯の
黒地にレモンイエロー
香月泰男

投げ捨てることにより支払う

爽✖️✖️✖️✖️

Θυγάτηρ
thygater
娘よ
蛍光黄緑の爽✖️✖️✖️✖️

紫キャベツの色

湖に注ぐ川の
完結
だらだら流れる力じゃなくて

腕を通す喜び

脛骨の四番
首が折れる

最高の仕事とはうそを暴くという仕事
絶望の荷を引きずったまま生きる

一人一人が持つエネルギーは限られている

余ったエネルギーを使っていた

いつの間にか赤を入れられ

だらだら流れる力じゃなくて

がまんすればするぼど強くなります

 

 

 

11月

 

工藤冬里

 
 

私たちはどのようにして生きているのかというと車のデザインを見せられて野獣や涙目の動向を見せられて生きているのです
あとはヴィノ・ノヴェッロで現在世界を読まされて生きているのです
絵画によって生きているのではありません
家族の物語によって生きているのでもありません

私たちは車の威圧によって生きているのです
あるいは舌の先の金属の味によって

草によってみどりを得ているのではなく
その生え方や生え際によって強迫されているだけなのです

枝ぶりは
なくならなければ自然とは言えません

光と影は
産道以外の意味で使われてはなりません

薬局が量販店になったのがいけなかったのです
それで松が死にました
子供たち、横断歩道を渡る時は首をかき切られないように気をつけてください!
車が、ナイフだからです
みどりはすべて図鑑の緑になってしまった
彩色を行う手がふるびてしまってもうどうしようもない

 
失敗と戦争の間につながりがあり
そのつながりは渦であり
渦は腐っている
腐った渦は失敗のビオから出て
巻き貝のペンダントは直ぐに千切られ
港の対岸の島はあまりにも近く
えりかさんの翼は滑走路をはみ出す
節目に生えるのが羽根なら
見落とし勝ちな歩行者を轢くのは
モーセの体を巡る論争の螺旋
注射針の痕に四角い絆創膏を貼って
ゆきさんはクジラの温さを盛り付け
源の安全も忘れて命を落とす
ディスプレイを磨いて死んで四日経つまで待つ

 
おもしろい夢
夢はおもしろい
きみはでてこない
きみってだれですか
きみじゃないよ
しにたい朝
朝はしにたい
きみのせいで
わたしのせいですか
きみじゃないよ
つめたい足
足はつめたい
しんだらもっとつめたくなった
ぼくの足ですか
きみの足だよ