工藤冬里
床屋の日常などない
黒髪も白髪も
共に落ち
吹かれるか吸われるか
籾殻のように跡形もなく
かつておれが坐っていた日常は
高さを調整されて
静止している
動脈静脈の絡み合いで
やっと直立していた
観葉植物の猿人は
マンドレイクという名で
令和姫とレイチェルはスーパーで彼を根こそぎ争奪し合い
お蔭で地球は空洞になってしまった
ジルパとビルハは軽くなった腹を撫で回し
GIFにもされなかった自分たちの気楽を啜った
ジルパもビルハも
借り腹の絡み合いの紐を
立体にしたのだ
それをカットしたのはおれだった
かつておれが坐っていた日常は
いまや正しさを調整されて
絡み合いながら静止している
#poetry #rock musician