工藤冬里
今日のあけがた
まつりの熾火はまだくすぶっていたが
さむさのなか期待してうろうろしていた
組内のヤクインたちが起きてきて(ずるいな)協議しているようだった
ここで暴力装置と自治会が系統を別にしていることが明らかになったのをあらためて感じる
ケーサツを呼べ
はまだ生きていた
反逆禁止条例は直接的には暴力装置とかんけいはなく
長の前で「うん」と言ったからといってどうなるものでもないのだ
罪状は大抵の場合突き上げによる
だからもうなにも応えなくていい
仕組まれた事件を扱う長はうらみや嫉妬まで見通しているものだし
なおかつ恩赦の餅撒きまで持つのが支配の生政治というものだ
ヤクインは薬院に集まり鯔背なまつりの死者のハレに衆の焦点を持って行った
まつりの死者はべつの満月のまつりをすでに昨晩用意していた
目の前にあった飲食物を回して与(アヅカ)るメモリアル、という簡素なカウンターであった
暴力装置は作動した
あざけりや唾をかけることはこんどは代理の暴力装置の仕事だった
罪状のパロディを演じるのは共生の実感がないからこそ出来る、虐殺に従順な軍の特色だ
群衆の代理としての暴力装置は個々人には冷たく、棒杭を運ばせられるなどしてとばっちりを受ける者もいた
長が訴訟の裏を見通しているのと同じように、群衆はゴルゴ13のように背面を取られないためにだけ想像力を用いる
まつりの死者はじぶんのまつりの中にいるが群衆はかれらのまつりの中で裏へ、裏へと情動をマネジメントするので
雷の声を聞いてもその解釈に於いてつねにずれていく
えりという語が発せられているのに聞き間違いを耳に強いてまで裏を取って意識決定をずらせてゆくのだ
それは消防団的なリーダーたちへの付和雷同という消極的な側面もあるが
苛められて来たゆえの防御反応でもある
昼なのに闇が垂れこめている
奥の奥に通じるとされていた幕が裂けてやっと裏がえしていたものが現実だったと知る兵隊もいる
動態視力としてのカメラは引かれまつりの外の大勢の女たちが映し出される
roll it on him!
読者よ想像力を働かせなさい
支配の複雑さと虐待のトラウマから来ているのかもしれないが
本当の場面に遭遇した時いつものように裏を想ってしまうならば
人の子を殺してしまうのだということを。
花の季節に閉じこもって花の写真を見ている
忙しくしていれば乗り越えられると信じて
欠落を見続けている
だが今日は見てやる
ちらとでも見てやる
花の永遠を
見たら爆発する
去年との違いを見てやる
おう 書き言葉 書き言葉
詩の役割語よ
腹を立てていた
自分に対してだけじゃない
ほとんどすべてのものに
そばにいる
画面にない手を見る
猫を見ていると
種の違いよりも
個体差の方が本質的であるように思える
千年眼鏡を外すと
聖霊なきシュールの彼方
ここまで画像整理に励んでいるということは
ほんとうに死者からのアルシーヴを実践しているということだ
平たく言えば今年からはサクラもガン見しようとせず既に死んだつもりになっているということだ
happy passoverなどというGIFが散見されることからすれば
地上性の開き直りの世俗は天に達している
すなわち滅ぼされる
きみはガクモンにヨリドコロを見てはいけない
天にも地にも居場所はない
緑の濃いとりわけにちゃらけた写真があった
セイタカアワダチソウの黄色が見えた
耳鳴りの中痙攣しながら自分で自分の肩を抱いて寝なさい
#poetry #rock musician