工藤冬里
弘前城は枝垂れが満開で
お濠は花で真っ白だった
僕はハルコと四阿にいた
水面はハルコなら歩けるんじゃないかと思うくらい真っ白だった
毎年こんなに真っ白になるんだと思った
その頃の写真は失われている
あんなに真っ白になるんだった
齶田から津軽に入ると丘はウィーン幻想派のみどりで
浅虫海岸の黒は海鞘のにおいがした
弘前はユパンキという店に呼ばれていた
城址の桜が満開だった
僕はハルコとピアニカを吹いていた
僕が息を震わせるとハルコも音を震わせ
僕が勢い余って吹き口を外すとハルコは笑った
お濠は真っ白だった
毎年こんなに真っ白になるんだと思った
その頃の画像は失われている
5Gは希望を奪うんだろうか
全てを奪われた脳に残るのは失われた画像だけだ
お濠は花で真っ白だった
あんなに真っ白になるんだった
ああ あんなに
真っ白になるんだった
#poetry #rock musician
https://youtu.be/lanwguRDzco