千年のむき出し

 

工藤冬里

 
 

人の限界の先は滝になっていて
生政治が落下している
MMAの勝者は丁寧語であった
カール・ゴッチも紳士であった
児童図書しか借りない引き籠もりの男は番付表を誦じていた
鮎川は叙情詩に落ち着いた
コロナは新型と呼び習わされている
正しく闘い続けるとは児童書を借り取組を覚えてコロナに新型を付けることだろうか
そうかもしれない
いつもそれはそういう感じなのだ
上からの照明で顔は変わる
姉と妹が照らされず内側から明るい
漫才ユニットの片割れ片割れのように明るい明るい
コンビニの前で世馴れた交渉をする危機に
下を向くレッスン
人気のある時はあラッスンだと差された
オタマジャクシたちの運営
ペニエルの取っ組み合いは明日の嫌なことを忘れさせた
昭和のくぐもり
をスマホの解像度が消す
ゲジゲジ眉が慰安所を作った
財産は家畜
唐を荒らしても稽を無くすな
八割れの牝牛
に似ているけどネコ
タプタプ
身頃に止める穴付き
カーテンの襞を垂直に垂らす強い力
言葉の使命
薄いモオブ
モオブ
濃いモオブ
ほとんど黒
濁音の排除
ペダル踏んで
構築され切った晩期資本主義脳
慣れない状況ではありますが
般若のアングルで
ドラクロワ
荒唐の堅さで
襞が三点透視
光で唇が溶ける
ご飯食べてない
赤トンボ色の
怖れ
もう重力ない

ネガティブなことを語り過ぎない
と言うと叩かれる
ジャコブは恵みを求めて泣いた
疲れ切っていたし
丁寧にお断りし
知らず知らずのうちに
にせものは目に見えるからわかる
ネコはぶぜんとする
壁があまりにもはっきりしているので
でもそこに戸口がある
千年平行移動して
城の周りを回る荒唐ハーモロディクス
八十八周回ってもも崩れない無稽の壁
ル・マンのボタンダウンの団栗頭
枝が柔らかくなって
もうすぐ終わるから
逃げ道​を​知ら​ない​さまざまな国​の​人々​が​レイモン・クノー​します
マックス・ジャコブに立ち
水も買った
拡大写真で何も分からなくなる
特に注意する人
甚だしい水曜日
こういう時だけ
荒唐は嘆きながら働く
真っ当なことを言えないので
無稽封じにはなる
真っ当なことが壁になって
荒唐のハーモロディクスが地に堕ちていく
この世界の敵たち全てのように
むき出しにされて堕ちていく

 

 

 
#poetry #rock musician

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