松田朋春

 
 

一日中コーヒーを焼いて
たまりかねた隣人が小言をいいにきた
ベランダではアスパラがぐんぐんのびて
いちごが赤くなって
めだかは一匹ずつ死んで
キャベツの芋虫がまた大きくなって
風がふくとすべてが揺れて

黄色い靴の夢をみた
あとでその意味を調べようと思って
もういちど眠った

何を書いても暗示してしまう
みんながつながってしまった世界に
ほんとうの他者はいない

 

 

 

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