その日の花を摘め

 

原田淳子

 
 

 

飛散させて

通りすがりのあなたに

種を宿せず
髪は肥料にもならず
春はわたしを啄み、
わたしを産み、
去ってゆきました

わたしの色は、夏のそれだと

秋は背を向けて、三億人の他人のよう

花弁をあつめて
心臓のふりをしてきました

Carpe diem

“その日の花を摘め”

あしたを信じてはならぬ.
きょうが終わるまで
わたしには永遠です

不滅の生には語るべきものがなく
原因と結果を永遠に繰り返す

 

飛散させて

わたしを摘むのは、雨ですか

濡れた初夏、
あなたは、
通りすがりの.

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です