工藤冬里
1. 死
自分の周りに竹林の仕切りが出来ていきなり音声が曇った
その倫理上の差を時間に置き換えて
風があっちからこっちへ吹いてくるちょっとの間だよ、
と
黒犬の歌い出しの前の
安藤昇が喋った
時間はチョコレートの板で立てられた河川敷の塀となっている
ほんとうに菓子の硬さであいうえを見上げた
がしがしと言葉は
階段を作ることができるほどに
切り出された
2. 復活
囚獄には鼠がいる
夢を囓り映像を分ける
子供を起こすように
呼ぶと
細胞のレユニオンが鬱勃と興る
居た堪れない死に方をした眠りから
お客さん終点ですよ
自分の作った器にもう一度会いたいと願
われないなら
仕返しを
し
な
く
て
も
無駄になってしまう
ティルス銀貨一枚は給料四日分だから百万くらい
街金マチウ書シロンが居たのに会計係だったということは
妹が居たということだ
3. 生
全世代が届かぬ高みから落とした刈り上げがキモい
その金で妹は
轡を噛ませた言葉の走りに賭ける
決着は何番目でも漲る体力が面白い
あのアニメなんだっけ
同時に多々ある理不尽
字が書けないからわかんないや
ひどい扱いを
受け
ない
よう
には
されなかった
相当な抑圧
を不安ごと
乗り越え
生計を立てる
大人の皆さん
とはあまり言わない
親の皆さんとは言う
全世代が抑圧を乗り越えることができる
戦中派の帰路は
あまりに単純だ
一緒にいる
というだけで
では一緒にい
ない
なら
どうなるのか小僧デイヴィッド
と
会計係の妹よ
生涯にわたって
年齢にかかわらず
生きている限り
日が
四分三十三秒の大人しい音無しの音沙汰を
風があっちからこっちへ吹いてくるちょっとの間だよ、
と
#poetry #rock musician