夜の立体駐車場

 

工藤冬里

 
 

夜啼く鳥の囀りが
立体駐車場に反響し
ブラックバードに似たその高音は
西洋に合わせた管弦の
千切れた胡弓のようだ
浅い夜
あなたのしようとしていることを済ませなさい
と言われて出てきた
モールに人気はなく
非常ボタンを押して歩く
立体駐車場の音響的結構は
ホタルの眠る長い夜を消毒してゆく

十一人は鳥のマスクをして食卓の主人を囲み
2メートル間隔で横坐りしていた
上座は奥の左だったがオットセイ達は気にしてないふりをしていた
みんなシャワーを浴びてるから体はきれいだけど
足はこんな風に洗い合いっこするのよ
先生、オットセイなのでシャワー浴びないし足無いんですけど
と言う俺を見上げて先生は
アガペーなのかアッカンベーなのか
困ったような顔をされて
あと一日で死ぬオットセイ
と仰った
まさかわたしじゃありませんよね
はいお口あーんして
介護士の感染はこのショッピング・モールもガラガラにさせた
俺に這入ったくすりには虹色の未来が入っていた
それで俺は部屋を出て
モールの管理人に知らせに来たのだ
ブラックバードが
啼いてますよと

 

 

 
#poetry #rock musician

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