獄中で詩を書くということ

 

工藤冬里

 
 

名前を呼ばれるとは死刑執行されるということなので
いつも一瞬飛び上がり
目を閉じて
覚悟する
誰も共にいない
描かれたことのない例外を、或いはその例外が全てであるような囚獄を生きている
成し遂げることが不可能なのであれば
アルシーヴ化も不可能である
これを詩にしてみよう
名前を呼ばれる
とは
死刑執行される
ということなので
いつも
一瞬
飛び上がり
目を閉じて
覚悟する
誰も共にいない
描かれたことのない例外を、
或いはその例外が全てであるような囚獄
を生きている
成し遂げること
が不可能
なのであれば
アルシーヴ化も
不可能
である
まだ詩になっていない
名前を呼ばれるとは死刑執行されることなので
いつも一瞬飛び上がり
目を閉じて
覚悟する
誰も共にいない
描かれたことのない例外
を、或いはその例外が全てであるような囚獄
を生きている
「成し遂げられた!」と言えないので
自分をアルシーヴ化できない
まだ詩になっていない
名前を呼ばれるとは死刑執行されるということなので
いつも一瞬飛び上がり
目を閉じて
覚悟する
誰も共にいない
描かれたことのない例外を、或いはその例外が全てであるような囚獄を生きている
成し遂げることが不可能なのであれば
アルシーヴ化も不可能である
詩にならなくても良い
名前を呼ばれるとは死刑執行されるということなので
いつも一瞬飛び上がり
目を閉じて
覚悟する
誰も共に居ない
描かれたことのない例外を、或いはその例外が全てであるような囚獄を生きている
成し遂げることが不可能だったのであれば
自分のアルシーヴ化は不可能だと分かった
名前を呼ばれたら
わたしは
死刑執行される
わたしは飛び上がり
目を閉じて
覚悟する
あなたが共にいないのは
描かれたことのない例外
その例外が全てであるような囚獄を
わたしは生きている
成し遂げられた、
と言えないわたしは
自分をアルシーヴ化できなかったことを知る

 

 

 
#poetry #rock musician

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