social distance

 

工藤冬里

 
 

遠く離れた人もいるけど
自分の体の足と目の痛点はそれよりもっと離れている
だから距離は問題ではない
行替えの段差のみが隔たりを形作る
covid-19 sentenceの行替えには二メートル必要だ
行替え療法はアマビエなんかよりも効く
ではやってみよう
刑は一行に対して一センチ、一行に対して一センチとする
ここで本当に赤塚不二夫とか筒井康隆みたいに二百行空けてもいいが
世の中は田植えである
朝五時に池の水門を開いて放流するので今日を逃したら水を確保できない
詩の実験などやっている暇はない
それより
放流によって流された亀が必ず道を歩いているから
彼らを池に戻さねばならない
大家は家賃よりそのことを気にしているのだ
蛍には昨日さよならした
田植えが始まれば居なくなるのだ
すっからかんワインを持ってきてくれたカメラ君と海野君とサキちゃんと橋の上から見た
今はそういう季節なのだ

 

 

 

#poetry #rock musician

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