海辺の叙景 Ⅱ

 

工藤冬里

 
 

人が死ぬというのに明るい声で
否認段階の痛みをやり過ごすように
観光地としての死を自撮りする
ガレルめいて白化したzoomの背景画像が離れた者たちのリアルとなり
宇宙をペンキ絵のショーにしたまま
聖地巡礼は換骨堕胎され
地と海と空だけなのに墓となる
感情史に於いては
クライマックスに於ける無感情が正史となる
いかなる革命もない
刺のあるまま進み
墓を撤去する

 

 

 

#poetry #rock musician

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です