村岡由梨
山の斜面の
水が引いた時にしか通れない道で
少女たちが一斉に列車に飛び込む
飛び散った無数の肉片を
ランドセル姿の幼女がペロッと舐めた。
目が覚める
いつもとは違う
投げやりな態度の先生が
拘束衣を片手に私の話を聞く。
私たち家族4人
別々の部屋の前に立たされる。
おかっぱ頭の、幼い眠が
泣きべそをかきながら
私に訴える。
「ママ、わたし、この部屋に入りたくない」
目が覚める
心臓の鼓動をぶつ切りにされるような衝撃で
何度も何度も目が覚めた。
私の知らない場所で
眠もまた
眠れず天井を見つめているのだろうか。
拘束衣を着せられた私の口元に
誰かがそっとガーゼを押しあてた。
自分の顔がわからない。
今すぐ笑顔の眠に会いたい