背中

 

松田朋春

 
 

子供の背中をみる
肩の骨が出ている
首筋がやけている
もう違う何かを見ている
ことばが遠くなる
猫の家族のように
眼をあわせなくなって
親が死に子が育ち
その先のあらすじを知っていて
いってらっしゃいという
心が逆巻いている子供の
背中をみる
なすすべもなく
いってらっしゃいといい
おかえりという
知っているものに
ひとがおきかわる
心細さが
自分にもあてはまる
それは
本当なのか

 

 

 

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