王国 Ⅱ 投稿日時: 2020年9月19日 投稿者: michio sato 原田淳子 夜に濡れてゆく 硝子玉の音いろ 鈴虫たちが 銀の環を潜り いのちが土に頬よせる 泉団地行きのバスが通り過ぎれば 野放図な蔦が彼らの王国を孕む 重すぎる未送信の手紙の 耐えられない存在の軽さ 涙すら流れない虚無 裸足に触れる 星疼く夜 虫たちのマルチチュード