胎児 投稿日時: 2020年10月19日 投稿者: michio sato 原田淳子 イチョウの実 産毛のない肌 生まれたての生きものの匂いに似て 子どもの頃の親友だった犬を想い出す こどもたちがクサイクサイと実を踏むので さらに生きものの匂いが立ちこめる 時間軸を失ったわたしに 窓から生きものたちが いまは秋だ、と告げる 骨を持たないまま流れていった 胎児が降り注ぐ 墓の山に埋めてあげる 牡牛座の胸に眠れ 二十年前に死んだ 犬の名まえを呼ぶ きみも わたしも みな、胎児だった