松田朋春
この街はたぶん
はじまった時からふるびていて
神宮ばかりが青々と生命を集めている
水路も道も
樹皮の皺のように蛇行して
何かを守っている
疫病なんて何度も通り過ぎたと
誰も採らない道端の柑橘がささやく
すれ違うとき
汐の湯につかって
磯のように
表面を溶かす
水も土も風も
体液と同じ味になるまで
あともうすこし
この街はたぶん
はじまった時からふるびていて
神宮ばかりが青々と生命を集めている
水路も道も
樹皮の皺のように蛇行して
何かを守っている
疫病なんて何度も通り過ぎたと
誰も採らない道端の柑橘がささやく
すれ違うとき
汐の湯につかって
磯のように
表面を溶かす
水も土も風も
体液と同じ味になるまで
あともうすこし