郵便配達夫を追いかける

 

工藤冬里

 
 

私とは
出されてしまった手紙
封をされて
呼吸している
紙でも肉は切れる
開封されてしまったら髄まで断たれる
骨を継ぐのはセメント
樽の中でランガージュが回っている
血と骨
言葉とセメント
血も言葉で継げるか
ウイルスで刻印された血は開封前の赤紙
食事のたびに欠ける歯の
軽さに苦しむ
禁止された黒白鍵盤の
陰鬱な漆喰土塀の街並みを
ランガージュが走り回る
歯並びは土佐電鉄のように
「ごめん」と「いの」を行き来する

 

 

 

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