遠心 投稿日時: 2020年11月19日 投稿者: michio sato 原田淳子 春からの夜の散歩は続いていて 砂の城を歩く 塩の滑り台 眠りかけた蔦に足を絡める ここから先はゆけなくて. 果実の囁き、香りがつま先で回転する 動けぬのなら遠近もない ただ深さだけだ 力は何処へゆくの. 重ねられてゆく葉の深さが 永遠を指している 鉛の闇は絶対零度 小学校の休み時間、 教室で削っていた鉛筆芯の温度 屑籠は夜のようにあたたかった 深みのなかで 望みを濾過して 熱を発する 遠心の火 百年の炎立つ