小関千恵
夜に、
融合を遂げたチョウチンアンコウのムニエルを食べさせる
たわみに合わせて、うなづく
肌よりも、こぼれるものが触れていく
微かに結ばれている道の上で
血の流れにしっかりと掴まっている
月も、花も、見ないで
立ち漕ぎをした
丸い 夜の形を真っ二つにして
そうだ お金があればよかったよね
お父さん
白痴に向かい
行方不明になる影
光が、
一面におちてくる
月の内部は 母胎だったんだ
帰っていくね
いつか必ず、普通に死ぬから
束縛せず
孤独のまま 依存し合った
隣に居あわせながら 互いの地上で
星々と話し合った
夜が鳴いている
わたしは
夜の鳴き真似をする
10年
とうめいなおとになりたくて
住み続けた西窓の部屋がいまとても豊かだ
根を裸にして光と熱を見つめる
切り落とした水に
果たされなかった光が乱反射を起こしている
その光に、ただ揺られている