工藤冬里
カーペットをはがしてむきだしになった畳は少し砂っぽいがそれほど焼けておらず猫の爪からも守られていて、墓川は、引っ越し気分のようなものが部屋に満ちるのを感じた。
二章 返品
ニトリに色違いだったカーペットを持っていく。それは受理され、更に濃い茶色のものに変更される。今のイエがブースだとすると、ブースにカーペットなど要らない筈だが、ブースのフェスの規定が書かれたのはブースで移動していたまさにその時なのであり、それは将来のイエで、ブース暮らしを思い出すためなのだった。今を思い出すための記述としてのカーペットなのだと思い至ると、墓川はフェスの移動のような土ぼこりが舞うのを感じるのだった。
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