ヒヨコブタ
たくさんの年始の挨拶のなかに
おばの懐かしい文字があった
幼い頃に農家へ養子に出たその人の
一文字一文字が胸をうつ
元気でいればまたお目にかかることも出来るでしょう
そのときを楽しみにしています
親の兄弟姉妹のなかでも一目おかれる彼女は
確かにそう思っているのだと
一つひとつの文字の強さにそう感じる
この冬も家のまわりは吹雪くだろう
田畑は雪に覆われて
地吹雪も酷いだろう
腰はとうに曲がり
いつも生まれたての玉子を持たせてくれた
訪ねると持っていった以上の収穫物を
美味しい米も美しい花も
彼女にいまとても会いたい
白髪の長い髪を乙女のように三つ編みにした
愛らしいひとに
わたしが生まれたばしょではないのに
訪れるたび先祖の開墾をおもうばしょに
確かに彼女はいる
叶わぬことも
叶えるために
日々呼吸をしている
また彼女に会うために
またあの地に立ち
あらゆる記憶をつかみとるために