僕の普通と君の普通

 

有田誠司

 
 

君は朝起きて顔洗って歯を磨く
トーストと珈琲
仕事に行って帰宅して
家事を済ませて風呂入ってまた眠る
毎日こんな感じの普通な日々

僕は病院のベッドで目覚める看護士さんに支えられ車椅子に座る

左手足は僕のものだけど僕の意思では動かない
目もあまり見えない
二重にボヤけた世界が見える
左耳は聞こえなくなった
1日のほとんどをベッドの上で過ごす
許されてる事は
窓から外を見る事と
夢を見る事
毎日こんな感じの普通な日々

見た目はいたって普通だよ
周りの人達にはわからない
先生も言ってた
だって手足も付いてるじゃないかって

だけど僕のものじゃない
無かったら良かったのにね
それなら皆んな直ぐにわかるもんね

普通じゃないけど僕の普通

君は普通だけど普通じゃないよ
だって君は何処へでも行けるのに何処にも行かない
背中にある羽根に気が付いてない

勿体ないね 僕は少し笑った

 

 

 

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